ニューヨークのバレエ・カンパニーに所属するニナは、元ダンサーの母親の寵愛のもと、人生のすべてをバレエに捧げていた。そんな彼女に新作「白鳥の湖」のプリマを演じるチャンスが訪れる。しかし純真な白鳥の女王だけでなく、邪悪で官能的な黒鳥も演じねばならないこの難役は、優等生タイプのニナにとってハードルの高すぎる挑戦だった。さらに黒鳥役が似合う奔放な新人ダンサー、リリーの出現も、ニナを精神的に追い詰めていく。やがて役作りに没頭するあまり極度の混乱に陥ったニナは、現実と悪夢の狭間をさまよい、自らの心の闇に囚われていくのだった・・・。 ≫予告編
≪監督≫ ダーレン・アロノフスキー
トマス(ヴァンサン・カッセル)
リリー(ミラ・キュニス)エリカ[ニナの母](バーバラ・ハーシー)
ベス(ウィノナ・ライダー)
デビット(ベンジャミン・ミルピエ)
ヴェロニカ(セニア・ソロ)≪MY評価≫
満足度 :★★★★★
オススメ度:★★★☆☆
感動 :★★★★☆
スリル:★★★★☆
笑い :★☆☆☆☆
後味 :★☆☆☆☆
選曲 :★★★★★
≪こんな人におススメ≫
・バレエをやっていた人。
・クラシックが好きな人。
・頭の中がわちゃわちゃしている人。
・自分の中にもう一人の自分がいると信じている人。
・最近、刺激が足りてない人。【白鳥の中に芽生えた黒鳥 そして「完璧」へ 】
おそらく今年度3本の指に入る作品。本当に開いた口が塞がらなかった。(これは寒イボ?)(それとも、寒気?)鳥肌立ちっぱなしだった。これは、頭で考えるもんじゃない!体で感じるもんだ!見るなら映画館で見ることを薦める。が、むやみに薦められる作品ではない。
この映画はひとつの芸術みたいなとこがある。ピカソの絵を「あんなん下手くそなだけじゃん!」って言えないのと同じでこの映画も、決して批判できないもんな。「説明できないけど、なんとなく良かった。なんかすごかった。」って感想
が正しいんだと思う。
が正しいんだと思う。
自分の中にはもう一人の自分がいるってのは欧米的な思想だけど、日本人にもそういう考え方はあるから共感はしやすかったというのも、もしかしたら入り込むことができた要因かもしれない。
中盤から後半にかけてはニナがどんどんと自分の中の黒鳥に浸食されていく様子が描かれていて、悪夢と現実を行ったり来たりする。この両者の境界線が全然はっきりしていないから、見てる側もハラハラと緊張感溢れる状態でラストシーンを迎えることになる。正直、後半はグロいシーンも多いしホラー映画かと思わせるようなショッキングなシーンも数多くあって、内臓がきゅうっと締め付けられるような感覚だった。ニナと同じように鳥肌立ちまくるし・・・汗。
ラストの初公演のシーンでは、臆病で繊細な白鳥だったニナがリリーを刺すという幻覚を見たおかげで、今まで徐々に身につけてきた官能さに、邪悪さが加わり最高の黒鳥を演じる。そして、さっきの幻覚だったと気付いたニナはまた臆病な白鳥に戻り、さっき刺したのは自分自身だったと気付き何かを悟って今度は最高の白鳥を演じる。最後は白鳥の湖のストーリーさながら、ニナは命を落とすのだけど、死に際の言葉が印象的だった。
「私、感じてたわ。完璧よ。私、完璧だったわ。」
ニナはずっと「不感症娘」と言われていて白鳥としては美しいが、黒鳥のように官能的な色気がないと言われてきた。そういった官能的な部分を持つベスやリリーに対して臆する事や妬む気持ちもあったのだろう。「私、感じてたわ。」という誇らしげな言葉はそうした劣等感を払拭し、トマが言う完璧な演技ができたという、ニナにとっては今までの全ての努力が報われたという気持ちの表れだったのだろう。
見る側にとってはバッドエンディングもしくは腑に落ちないエンディングなのかもしれないが、主人公のニナが、今までの努力が報われ、もう二度とできないかもしれない完璧な演技をして死んでいったのを考えるとある意味ハッピーエンドだったのかもしれない。
特に『告白』がおすすめ。この映画に負けず劣らずの衝撃を目撃できます。
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